あびこ子どもまつり2005ジュニアスタッフの活動のまとめ
 Jrスタッフ担当  栗原 祐子(あびこ子どもネットワーク・人材コーディネート部)
第11回あびこ子どもまつり開催要項(抜粋)
2005年度の方針
1 子ども達が自ら企画を出し合い当日の運営もします。大人は応援していく立場に回リます。
2 地域通貨『アビー』を流通させることで、当日参加の子どももお客さんではなく 遊びの仕掛け人等、スタッフの体験や、いろいろな人との豊かな交流を楽しみます。
3 実行委員会には、子どもの企画運営をサポートする大人と、各コーナーを担う大人がいて、共に自立したかかわり方をしていきます
期日  2005年10月22日(土)  
会場  アビスタ全館 手賀沼多目的広場
内容  子どもたちが企画し運営する、ゲーム・手作り遊び・ワークショップ・お店を中心に、市内の子どもに関係する団体やアーティストが協力してつくる子どもの祭り
参加費 4歳以上200円
主催  あびこ子どもまつり実行委員会
共催  我孫子市教育委員会・我孫子市
同時開催 我孫子手づくり散歩市
●子どもまつりジュニアスタッフの活動
1 募集の仕方と人数構成
 今までの市内の子ども関係の行事にジュニアスタッフとして参加し、実行委員会の誘いに参加の意志表示をしてきた子ども。「なるべく高学年以上」と公募(あびっ子ネット・小中学生NPOボランティア情報誌に掲載・市内西地区の小学校5年生〜中学2年生を対象にチラシを各学校各クラスに配布)や口コミで集まってきた子ども。はじめに参加した子どもが仲間を誘い、30人程度の想定であったが結果的には60数名が集まった。
2 今年度の子どもまつり全体の企画においてJrスタッフが参画する内容や範囲
 基本的には参加してくれた子ども達の意欲と力量を見て何をどこまでやるかを考えていく方針であった。
 全体運営を子どもに任せるかについても子ども達の状況と意欲しだいと思っていたが、中学生と昨年参加した小学生を中心に全体の運営について強い興味関心を示したため、Jrスタッフのグループごとに企画運営するのお店屋さんの他に、村を作り国を作るというところまで進めることになった。かなりの体制が整った所で、中心となっていた中学生が、当日、部活の試合が入り7人中5人が抜けることになってしまったため、第1小の6年生を中心に補充して建て直しをしたが、当初予定していた全体の企画はやりきることはできなかった。

主なJrスタッフの活動内容
    おしゃれ村 食べ物村、迷路村:3つの村に分かれてのお店屋さんの企画運営
    内閣:オープニングとエンディングイベントの企画運営。 スタンプラリーの企画、ジュニアスタッフ会議の運営と進行。 内閣は国王と大臣で構成。立候補して選挙で選ばれる。内閣のメンバーは村にも所属し、当日はオープニングやエンディングの進行と共に、お店も運営する。
3  活動スケジュール
第1回  7月31日(日)13:00〜17:00アビスタ工作工芸室 やりたいことの出し合いと仲間作り
第2回  8月7日(日) 13:00〜17:00市民会館C会議室  企画についての話合い
第3回  8月21日(日)C会議室  食べ物試作
     8月28日(月) 我孫子市長訪問  
当日参加と挨拶と戴冠式への協力、アビ―紙幣への市長の顔印刷のお願い
第4回  9月4日(日)12:00〜15:00アビスタミニホール  国の仕組み屋名前を決める
第5回  9月11日(日)アビスタ調理室  国王大臣選挙 村企画作り
第6回  9月18日(日)C会議室 村カラーを決める。店のポスターつくり 試作
     子ども達自身で所属する学校へポスターを持っていき、掲示をお願いする
第7回  9月25日(日)9:00〜12:00アビスタ第1和室・スペースF 村の旗・店看板つくり
第8回  10月2日(日)アビスタ工作工芸室 
当日役割り分担 ホットケーキ・クレープ試作・模擬販売
第9回  10月9日(日)アビスタ工作工芸室   買出し、店の看板つくり、当日の打ち合わせ
第10回 10月16日(日)水の館 
 ゴミの話、作業、試作、アビ―の印刷、エントランス用大看板つくり 
第11回 10月21日(金)アビスタ   会場準備
当日   10月22日(土)アビスタ   当日反省会
第12回 11月3日(木)        まとめの感想会
(この他に数回の内閣の打合せと作業)
4 大人のサポート
   会議の日にちと場所の確保
  内容やつくるものによっては専門家の要請
   物品の調達    会議の進行の補助
   子どもの参加スケジュール管理
   親との連絡調整
   実行委員会との連絡調整
   当日サポートしてくれる大人の確保
* 準備段階の大人が足りなかった。当日の大人のサポートは集まったが、打ち合わせが不十分であった。
5 子ども実行委員会担当者 
    あびこリーダースクラブ  大野苑子  中村てつや  
    あびこ子どもネットワーク 木村優喜子 梅谷三恵  深津祥子  栗原祐子 
    * 当日の手伝い
Jrスタッフの子どものお母さん  あびこ子どもネットワーク 
  我孫子市青少年相談員  民生児童委員   サポートセンターコーディネーター
  ガールスカウトのリーダ  青年ボランティア 二階堂高校ボランティア部 
6 Jrスタッフ参加者
7 今年度のジュニアスタッフの目標 とその評価

〜アンケート・感想文・JRスタッフの反省会より(アンケート調査対象者はJrスタッフ60数人中41人) 〜
◆目標1: やりたいことを企画の段階から異年齢の人たちと相談しながら作り上げていく喜びを味わう
評価: 大人の実行委員会では今年の目標を「子ども達のやりたいを応援する」と決めてJrスタッフの活動をサポートしていった。大人が枠を決めるのではなく、ジュニアスタッフ会議の提案を基に大人の組織作りも進める。子どものニーズや力量を見極めつつ、子どもの活動を支え育成する大人のサポートのあり方を随時相談しながら進めていった。
時間はかかるしトラブルや不十分なことは多発したが、そのようなつくり方が子ども達の深い満足感につながったのではないかと思われる。アンケートでは満足した(35人。まあまあ満足を含めると全員)との答えが圧倒的に多かった。友達や仲間ができたことがよかった(27人)、スタッフ会議などの準備段階が楽しかった(18人)という回答も多数であった。また、スタッフに友達をたくさん誘ってこられた(友達に誘われて参加した22人)ことも意欲と楽しさの表れだったと思われる。人数は少なかったが、中学生や高校生が参加することが、魅力ある活動につながった。

◆目標2: 作り上げていく過程で学校とは違った人間関係を築き、地域の中で活動することにより、新しい自分に出会う。
評価: 違う学校の友達と仲良くなれた(23人)、勉強になった(17人)。参加した子ども達は必ずしも全員が積極的に学校へ通う子どもばかりではない。家庭や学校ではできない子育て・子育ちが地域にはある。学校外の子どもの居場所を地域が意識的に作り出すことで救われる子どもも現実にはたくさんいる。子どもまつりは、異年齢の学校とは違う人間関係の中で、新しい自分のよさを発見していく場でもあった。

◆目標3: やり遂げることにより自信を持つ。
評価:  アンケートや反省会では、満足度の高さと、今後の地域の活動への高い意欲(今後の企画に声をかけてもらいたい・クリスマス会をやりたいという声が多数があがっている。)が感じられた。感想文には、自分達の準備してきたお店や催しにたくさんのお客さんが来て商品が早々に完売し、周りの人がとても喜んでくれたことへの満足感や、身近な友達や学校の先生が来てくれて楽しんでくれたことへの喜びが多数つづられた。

◆目標4: 今まで参加してきた事業を振り返りながら、自分達にあった活動を作っていき、今後の地域での活動にも参画できるようにつなげていく 
 評価:子ども達は、企画を作る段階で今まで培ってきた経験を基に様々なアイディアを出しあい、友達を誘い、市や学校に働きかけ協力を求めてきた。そして反省会では今後の活動に対する高い意欲を示している。(一般参加の子ども達のアンケートでも218人中53人が、地域の活動に参加をしたいと答えている。)こうした 子ども達の意欲をどのような仕組みを作って地域の活動につなげていくのかは大人の側の宿題になるかと思う。
8  考察
〜子どもまつりJrスタッフの活動から見た我孫子の子どもの社会参画について〜

ジュニアスタッフの子どもは、小学生の9割が女子。中学生の全部が男子。担当する大人とその子どもとの関係で参加してきたという子どもと昨年のリピーターが中心になり、周囲の友達を誘い、Jrスタッフ会議が発足した時には20数名だったのが、当日は60数名に増えた。世話役でもスタッフ募集のチラシを我孫子の周辺の小中学校には配ったが、自分達の企画に人手が必要だという子ども達の気持ちが友達を誘うというエネルギーに変わっていったためだと思われる。

誘われて参加した子どもも、終了後の満足度は大きい。常に仲間づくりを意識し、ゲームや試作や話合いなどを取り入れた活動を積み上げていったためだと思われる。

子ども達がどのような活動に満足するのかを見てみると、お店の運営が一番である。企画から準備、当日の運営まですべてを手がけたことに、多くのお客さんがきて楽しんでもらえたという達成感を実感したためだと思われる。

友達や仲間が増えた。異年齢の友達、違う学校の友達との交流もよかったことの上位に入っている。子どもまつりに限らず、私達の子どもイベントのポイントの1つとして、【活動や遊びを通して子ども同士、子どもと大人達のコミュニケーションの機会を意識的に作る】ことがある。コミュニケーションの心地よさやおもしろさ素晴らしさを実感しスキルを身に付けていってほしいと願っているが、アンケートにもあるように、多くの子ども達がその点も実感してくれたことは本当に喜ばしいことである。

子ども達はアビ―を使っての、売り買いのシステムの魅力を充分感じている。当日参加した子どももお仕事をすることにより仕掛ける側に回れるというシステムがアビ―方式の魅力である。このアビ―システムは子どもの参画を実現していく仕掛けとして、Jrスタッフの活動とは車の両輪のようなものである。Jrスタッフにとって、当日来た子どもも作る側を担うことは、みんなで一緒にお祭りをつくったという意識が深まる要因になる。

子ども文化連絡会が担当したハローワークでは、なるべく人との関係性をつくる中でアビ―が稼げる仕事を意図的に用意をしており、多彩なコミュニケーションの仕掛けを作ることができた。

Jrスタッフの多くは未組織の女の子であった。我孫子には今後未組織の子ども達が益々増えてくるだろう。このような子ども達が地域の中で参画していけるような仕掛けを、今後どのようにつくって行くのかが大きな課題である。(我孫子では男子小学生の多くは地域のスポーツ少年団に入っていて土日とも練習や試合のある場合が多い。その活動の特性からいって地域の活動に参画しているとは言いがたいものがある。)

今年は22日に行事が重なる小学校がいくつかあったが、申し入れをし、日にちを動かしていただいた。このように子どもまつりも地域に根付き学校とも信頼関係が持てるようになったことは11年の継続の成果である。学校の年間行事予定表に子どもまつりを入れてくださっている学校もある。これも、教育委員会の協力と共に、子どもまつりにの他にも、あびっ子ネットやその他の活動で学校とのお付き合いを日頃から積極的に進めてきた現われであろう。これも我孫子の特性の1つである。

今回中心になって活躍してくれたのは、昨年の子どもまつりのJrスタッフやげんきフェスタの子ども実行委員を経験した中学生の子ども達である。彼らは、単にお店を出して個人的な満足を得るという発想にとどまらず、村や子どもの国を作り、各イベントを横断する企画や、組織作りについっても提案をしていった。子どもの意見を尊重してほしい。自分達にやらせてほしい。という主張をしてきた。それらは、蓄積された経験を土台にした提案だった。
 このような地域で活動した力を蓄積しつつ発展させていく事業は、今後の子どもの社会参画のあり方を考える上で重要である。

 子どもを参加させる単発的な行事、その場限りのボランティア的な参加の行事はたくさんあるが、子ども達の成長を見守りながら子どもの発想ややりたいことを中心に据えて、一緒にじっくりとつくり、成果を積み上げていく事業が本当は求められているのではないだろうか。しかし、一方では子どもの組織は会員が増えず、親も子どももお稽古や塾などの目先の利益が先行してしまい、遊びや体験を重視した組織的な活動にはなかなか参加しないというのが現状である。子どもが長期的に地域に参画する仕掛けを誰がどのように作り出すべきなのか、行政と共に多くの議論をしていかなくてはならないところである。子どもの育ちを見守りかかわりつづける活動は、手間隙をかけた地道な大人のサポートと、専門性とそれなりの経済的な支援が必要だということは言うまでもない。

子どもまつりも11年目を迎え、中心になる担い手は様々に変遷してきたが、基本的には我孫子の子どもの団体が、蓄積してきたノウハウと力とネットワークにより支えられている。今回子どもをサポートした大人たちも,長年の活動団体間の様々な関わりや事業を経て、子どもの権利条約に基づいた子ども観をある程度は共有することができていた。その意識のレベルは様々だが、主だった活動団体が子どもの社会参画の時代的ミッションを理解し協力できる体制にあることは、我孫子の子育て運動?の大きな成果でもある。子どもだけではなく、大人もまた、今までの活動の中で蓄積された力を今後どのような活動に活かしていくのかが問われているのである。

 現在、我孫子市では自治基本条例が住民参加で策定するようだが、その中に子どもが社会参加をする権利を盛り込むとのことである。また、昨年創設された子ども総合計画に基づいた事業は本来の意図が反映された事業になっているのだろうか。見守りや検証も必要である。

いつも与えられるばかりの存在ではなく、子どももその魅力や特性を生かして社会参画することで自らも育ち、まちづくりの一端を担うことができるという考え方と仕組みづくりを進めていきたい。

 地域で育ち、力をつけた子ども達が大人になってからも、さらに地域の担い手となってまちづくりに参画していくことをせつに願いつつ、できうる範囲で、子どもが真中のまちづくりを進めていきたい。
 Jrスタッフ担当  栗原 祐子(あびこ子どもネットワーク・人材コーディネート部)
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